こんなにも、きちんと恋の終わりを見つめることになるなんて思ってなかった。あったとしてももっと先で、もしかしたらそんなこと起こらないかも、なんて思ってた。思ってたよ。

 

ひとつ前のエントリからちょうど20日後に別れたので、なんだか笑ってしまった。あと、読み返して泣きそうになったけど泣かなかったので、自分の勘もすごい。結局二年と29日。二年一か月になる一日前で、世間様ではキスの日で盛り上がっていた。そんな日に別れるなんてね。なんてあっけない、って思った。二年間もなにしてたんだろうな。時間を重ねても壊れるのは一瞬で、でもわたしたちのは時間を重ねたからこそ崩れたような気もしている。たぶん必然だった。二年も繋げたのに、って思うけど、この先無理して続けてもまた、これだけ一緒にいたのに、って思うんだろうな。ってことに気づいてしまった。この先も一緒にいることと、いつか別れているだろうなということを同じ確かさをもって感じていた時点で終わりだったのかもしれない。それでもわたしはいけるところまでいこうと思っていたけれど、お互いにこの先の未来がジリ貧でいつか崩れると感じてた、ということを言葉にして確認してしまったらもうどうしようもなかった。もう見ないふりはできなくなった。その分相手の方がわたしより、ちゃんと将来について考えていたんだろうなって思う。

 

昨日から体中の空気を抜くようなため息をしている。吸わない深呼吸に近い。あと、ふと思い出しては呻いている。ただの自傷行為じゃんって思う。いま、彼のことを書くならもう元恋人なんだなって思って、元になった実感がわかないけどそれでも心臓が痛くなった。彼は例えば道を歩いてるときとか、電車に乗ってるときとか、時折残像みたいに突然現れて、そのたびにわたしは呻くか息を吐くかしている。そうやってふと元恋人のことを思い出しては、もう触れることも触れられることもないんだなということを考える。わたしがあのくせっ毛をかき回すこともないし、もう彼に電車で横にことが座ってもたれて寝たふりをしてる時に髪を撫でられたりすることもないんだろう。笑った顔も歌ってるところも欲情した目も、もうわたしに向けられることはない。決定的に失われてしまったものに気づいてから、もっと大切にしておけばよかったと思うのは不毛だ。でも今までで一番彼のことを考えてるかもしれない。自分が思っていたより、おそらくわたしは彼のことが好きだった。

 

遠因はいっぱいあって、それは二年の間に積み重なったものだけど、きっかけは自分で言うのもあれだけどバカみたいだ。むしろ笑ってほしい。わたしたちはお互いにオタク同士で付き合っていて、わたしは腐女子、相手はロリ系と百合もいけるよぐらいのオタクで、そういう話ができたというところから一緒に話し始めた。それが最近、彼がある女性声優にハマって。まあ、展開よめそうだよな。わたしも今二次のアイドルにハマってるし人のこと言えないなと思ったし、それぞれに自分の推しを推していければいいなと思ってた。お互いにお互いの好きなものを尊重していけると思ってた。だけど、相手の推し方は自分の思っていたものじゃなかったみたいで。わたしはあくまでファンとしての推しなんだけど、どうやらガチ恋に近いものな感じがした。本人はまだわからないって言ってたけど。

 

なんだそれ!?!?てかどうしようもなくない!?!?これ、圧縮すれば彼氏に他に好きな子ができた~ってことなんだろうけど、さらにややこしいややこしい。別にわたしだって二次元のキャラならぜんっぜん好きになってくれてよかったし、自分も同じことしてるし何も思わなかった。三次元の女の人が対象になった場合でも、ファンとして好きならまだよかった。だけど、同じベクトルの好きって感情で比べられた場合どうしようもなくない!?!?こちとら一般人なんだぞ!?!?三次元・女ってカテゴリーが一致したうえで、感情のベクトルが同じ方向にのってしまっては、わたしとしては単に推してるんだなとは思えなくなってきた。どちらか一方だけならここまで拒否反応出なかった。どうやら、カテゴリとベクトルが一致すると同列の存在に考えてしまうみたいだった。

 

この振られ方ちょっとどうかと思う。いや、きっかけなだけなんだけど、でもどうかと思う。「仕事と私どっちが大事なの!?」的流れを声優はさんでやってるわけでしょ笑うわ。このくだり思い出すと、まだ好きなんだよなあっていうセンチメンタルな感情と、うわマジかそれが二年間の終わりなのかほんとマジで言ってる!?みたいな感情でよくわからなくなって爆発する。他に好きな子できたって言われた方が嫌だけど!まだ話の筋としてはわかるじゃん!なにこれ!好きなひとの趣味を応援するっていうのにも限度がある。わたしは無理でした。だってその声優に向けてる感情は自分に向けてほしい感情とほぼ同じものなんだよ、無理でしょ。それで「その人のことが好きなのは絶対に変わらないから、その点が無理ならこの先付き合い続けていくのはしんどいと思うし、君のためにも別れた方がいい」とかいう話をされた。それに、わたしが一番きつかったのが前日の電話で言われた「今の俺の最優先はそのひとだから」って言われたことだった。そんなの、もう何にも言えないじゃん。最優先はわたしじゃない、なんて、本人にいうなよバカ。ほんとに。せめて言わないでくれればよかったのに。そんなの言われてしまったら、もう終わりじゃないか。常に自分のことを最優先にしてほしいなんて言うタイプじゃないけど、それでも許せるラインってものがある。相手も最近忙しくなっていて、時間が空かないのはわかっていた。それでも最優先じゃなくても少しでもいいからわたしがいればいいと思っていたけど、「君の生活の中にわたしはいる?」って聞いた時に一瞬目を伏せられて「すぐには頷けない」って言われた時に、ああもう終わりなんだなって思った。他に優先するものがあってもいいから、わたしを大切にしてほしいと思ってたよ。でもここまで言われてしまったら続けられない。

 

っていうのがきっかけのところ。でも確かに根本ですれ違ったままで、ここまできてしまっていたから、いつかは崩れていたんだと思う。さっきまでの話だと完全に振られた側なんだけど、でも直接会っていろいろ話したおかげで、「別れた」って思えてる。ほんっとうにきっちりきれいに振ってくれやがって、ありがとう、そういうちゃんとして優しいところがとても好きなんだ。電話やラインで済ませるんじゃなくてちゃんと直接会ってくれたから、ひどく引きずらなくてすんでると思う。嫌いにさせてくれないのは心底ずるいと思うけど。確実にいつか訪れる破綻を感じてたことをお互いに確認しあってしまって、そんな恐れを抱えたまま付き合うのはしんどいから、別れたほうがいいのはわかっていた。でもまだ好きで別れたくなかった。でも、最優先じゃないなんて言われたうえで付き合っていくのは無理だと思った。という感情が混ざった結果、きちんと話して別れることになった。

 

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ここまで書いてずっと下書きにしてあったから、いい加減供養したいなと思って、いま書いている。2019年の5月。あれから一年。最近何してるかはもう知らないな。ツイッター鍵になっちゃったし。前まではブロックしたけどちょくちょく覗いてたんだけどね。ネトスト。

 

なんだろうね。もうだいぶこの文章の前半みたいな激情はなくなってしまって、わたしはすぐに何でも忘れてしまう。ただ、漠然と、そんなこともあったなと思うくらいで。改めて思い返さなきゃ思い出すこともないかもしれない。自分が思っているより好きだったけど、わたしの大切な友達ほどには好きじゃなかったんだろうなっていうのが真実。考えれば考えるほど、わたしも悪かったから怒れないなって思うんだ。本音を見せずに笑ってる人なんて単なる偶像で、それならきちんと作られて美しい偶像の方を選ぶのもまあ仕方ないかなって考えてしまったから、あなただけが悪いなんて言えない。

 

 

彼の、破綻の前に自ら終わらせようとする姿勢を誠実だと思った。好きだった、んだろう。そう書いてある。いまは感情が薄れてしまってよくわからない。別れた男の一番好きだったところが「きちんと別れ話をしてくれたところ」なんだ。本人は保身だって言っていたけれど、感情の名前なんて受け取った方が付けるものだ。優しくなくても、優しくされたのは嘘じゃないもの。もうわたしの人生に関わらない人、ありがとう好きでした。

 

って半年前に〆てたのにね。いや気持ちが変わったんじゃなくて、薄れただけ。あんなに好きだって思ってたのが嘘みたい。嘘かもしれない。 それにあの時の日記を読み返して、もうあんな風に名前を呼べないなって気づいた。あんなに愛おしく、親し気に。自分の甘ったるい感情も思い出して居心地が悪くなる。今のわたしにとっては、あの人であり彼だ。元カレ、とはなんだか呼びにくいのはずっと前から。元恋人が一番近いのかもな。セックスの印象もだいぶなくなってしまって、別れてしばらくは自慰するときも「先輩」って声が聞こえた気がするのに、いまはそんなことない。でもここまで形がなくならないと、他の人と付き合うなんて出来ないような気がする。上手くできてる、世界。

 

でも、特別はいとも簡単に変化してしまうね。なるほど。約束も欲しくなるわけだ。こんな取り留めのないことをこの一年ずっと考えていた。付き合ったのが間違いだったとは言わない。大切だった、好きだった、あの頃の自分なりに。たくさんごめん、ありがとう。さよなら。